テナントの用途変更とは?手続きの流れも紹介
銀座での店舗運営において、物件の最適な活用は事業成功の鍵を握ります。
しかし、その過程で避けて通れないのが「テナントの用途変更」です。
本記事では、用途変更がなぜ必要か、どのような手続きが伴うのか、そして注意すべきポイントについて詳しく解説し、企業の担当者や代表者が陥りがちな落とし穴を回避する方法をご紹介します。
目次
テナントの用途変更とは
テナントの用途変更とは、賃貸物件の使用目的を変える行為で、適切な手続きを必要とします。このプロセスは、法的な枠組みの中でビジネスを正式に運営するために不可欠です。
もしテナントを借りて事業を始める場合、現行の利用目的から変更する必要があるかもしれないため、この手続きには注意が必要です。
建物が新築された際には、「オフィス」「小売店」「レストラン」などといった特定の用途で行政に登録されています。
登録された用途から変更して利用する場合は、変更のための公式な手続きを行う必要があります。
関連記事:テナントの用途とは? 用途変更が必要なケースも紹介
用途変更が必要になるのはなぜ
ビジネスの進展や市場の動きに応じて、賃貸スペースの活用法を変える必要があることがあります。このような変更を実施する時、法的な手続きである用途変更を行うことが不可欠です。
たとえば、少数の社員しか利用しない「オフィス」と、多くのお客様が行き来し、厨房で料理がされる「レストラン」では、建物の安全基準が異なります。
従って、法律や規則に基づいた安全基準に合わせて調整することが求められます。施設の使用目的によって、安全基準も変わるため、オフィスから人が多く集まる店舗への変更時には、避難経路、採光、温
度管理、湿度、換気などの機能の適合を図る必要があります。
利用者の安全を保ち、適切な環境を提供するために、用途変更が重要です。
テナントの用途変更を届け出ないとどうなる?
事業展開において用途変更を見逃すと、法的な責務やビジネスの信用にダメージを与えることがあります。
そうした状況を回避するには、変更が必要かどうかを入念に評価し、以下に述べる点を把握した上で、必要なプロセスをしっかりと実施することが求められます。
用途変更の確認申請が不要な場合
場合によっては、用途変更に伴う確認申請が免除されることがあります。確認申請が必須となるのは特定の条件を満たした時のみです。
ただし、確認申請の有無にかかわらず、建物の適切な維持や法令の遵守は常に必要です。
①「特殊建築物」への用途変更
「特殊建築物」への用途変更を検討する際は、特定の建築物に適用される法的定義とそれに伴う手続きをしっかりと把握することが不可欠です。このカテゴリーには劇場やホテル、デパートのような、多数の人が利用し、強化された安全対策や防火・衛生管理が求められる施設が含まれます。
対照的に、オフィスビルやアパートメントのような建築物は、「特殊建築物」には分類されず、用途変更の際の要件も変わってきます。
具体的に、「特殊建築物」への変更が必要とされるのは、異なる法的カテゴリーへの転換時だけであり、同じ「飲食店」カテゴリー内であれば、たとえばカフェから焼き肉店への変更には追加の確認申請は必要ありません。
用途変更を考える際には、変更前後のカテゴリーの法的位置付けを明確にし、どの手続きが適用されるのかを注意深く判断することが重要です。
②床面積が200平方メートルを超える用途変更
「特殊建築物」への用途変更を計画している場合、200平方メートルを超える広さに適用されると、正式な確認申請が義務付けられます。
この面積は、およそ60.5畳分に相当し、標準的なコンビニエンスストア一店舗分とほぼ等しいサイズです。予期せぬことかもしれませんが、この申請要件は比較的小さな区画や建物に対しても適用されることがあります。
つまり、一見小さな改修であっても、その規模が法定の基準を超えた瞬間、複雑な手続きが必要となるのです。
そのため、用途変更を考える際には、プロジェクトの初期段階で床面積に関する法規制を正確に理解し、必要な手続きを確実に行うことが大切です。
テナントの用途変更の流れ
用途変更の手続きは複雑に思われがちですが、以下のステップに従えば、スムーズに進めることができます。
ステップ①必要書類を準備する
申請プロセスを始める前に、まずは必要な文書類の収集から手をつけることが重要です。この初期工程での書類整備は、申請の流れをスムーズにし、プロセスの効率と精度を高めるための基礎を築きます。
文書と図面を確認し、必要なもの(確認済証、検査完了証、消防証明書、申請用図面、竣工図面、構造計算書など)が全て揃っていることを確認します。
「検査済証」は建物完成時に発行されるもので、これがなければ一級建築士や建築基準適合判定資格者が建築確認書に基づいて同等の報告書を作成することが求められます。
検査済証や建築確認書が紛失した場合は、台帳記載事項の照明書で代替することが可能です。また、竣工図面や構造計算書の再確認も大切なステップです。
ステップ②法令を確認する
続いて、変更予定の用途が法令に則っているかを詳細に調査します。
これには建築物が遵守すべき建築基準法や都市計画法のチェックが必要で、建物が地域の計画に適合しており、必要な安全や環境の規格を満たしていることを確かめます。
また、元の図面と現状との差異がないかを検証し、もし特殊な建築物への用途変更を考慮している場合は、それに伴う法的な制約や地域の条例も検討します。
建築当時の規制と現在の法令を再検討し、法改正により非適合となった建築物については、法令に準拠させるための改修が必要になることがあります。
ステップ③確認申請書の作成し提出する
必要書類を揃えたら、用途変更のための確認申請書を作成して地方自治体に提出します。
この段階で、専門家の助言を求めることも選択肢の一つです。
申請書には、建築基準法や都市計画法に基づいた変更が適切に反映されていることを示す図面の修正箇所や法的遵守状況の詳細が必要です。慎重な書類作成が必要とされ、正確な情報の提供が重要です。
提出後は、審査を経て、用途変更が法的に許可されます。物販店舗の確認申請図面、確認申請書を作成し、提出します。
確認申請書を提出し、確認済証が取得できたら着工できます。
着工後も工事完了届を提出したり、消防署や関係機関の検査を受けたりとさまざまな手続きが必要になるため、その辺りも理解した上で余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。
関連記事:テナントの入居審査に注意!流れや見られるポイントを徹底解説
テナントの用途変更する際の注意点
以下は、用途変更を行う際に注意すべき重要なポイントです。
注意点①過去にその建物内で用途変更した面積を合算する
用途変更を検討する際には、過去に行われた変更履歴も重要な検討要素です。これは、新しい変更が地域や建物にどのような影響を及ぼすかを判断するためです。
たとえば、もともとオフィス用途を想定していたビルの一フロアに300平方メートルのスペースがあったとします。
希望通りの入居者が見つからず、そのスペースを150平方メートルずつに分割して、一方をカフェ経営のテナントに貸し出すことになったとします。
このケースでは、用途変更後の利用面積が200平方メートル以下のため、確認申請の必要はありません。
しかし、3ヶ月後に残りの150平方メートルにラーメン店が入居することになれば、飲食店として使われる面積が合計で300平方メートルに達するため、用途変更の正式な手続きが必要となるのです。
注意点②確認申請は不要でも、法令遵守と適切な維持管理が必要
たとえ用途変更の確認申請が不要であっても、法律の遵守と不動産の適切なメンテナンスはオーナーの責任です。建築基準法や消防法をはじめ、地域ごとの用途区分や自治体の条例への対応は避けられません。
適正な手続きの適用と実施のためには、関連機関や専門家と連携し、規制や基準を遵守しているかを確認することが不可欠です。
忙しく書類作成や内装の計画に追われる中で、消防への届け出を見落とすリスクがありますが、用途変更においては消防署への届け出も欠かせません。
たとえば、飲食店やオフィスから物販店への変更では、防火措置や消防設備の配置、避難経路など新たな要件が求められることが多く、これらを満たすための工事が必要になります。
届出に必要な平面図や断面図、展開図の準備だけでなく、場合によっては防災管理者を選任することも考慮する必要があるため、全てのプロセスを綿密に計画することが大切です。
テナントの用途変更は正しい手続きを踏もう
テナントの使用目的変更は、市場の変化に対応しビジネスの成長を促すために極めて重要です。適応力がビジネス成功の鍵であり、そのためには法律に則った手続きが不可欠です。
このプロセスには、必要書類の準備、法的規制の検証、そして必要に応じた確認申請の提出が含まれます。申請そのものが不要なケースもあるかもしれませんが、物件の安全性や管理状態を保つことは常に必要です。
丁寧な準備と細心の注意を払うことで、銀座という競争の激しい市場でのビジネスの成功につながります。
本記事が、申請手続きをスムーズに進め、適切に完遂するためのサポートになれば幸いです。プロセスを一つひとつ丁寧に進め、ビジネスを次のレベルに引き上げましょう。
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