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公開日 2023.08.23 更新日 2024.01.17

テナントビル経営とは?メリット・デメリットを徹底解説

土地を有効的に活用する方法としてメリットの高い「テナントビル経営」。
立地や周辺環境に恵まれると、長期的に高い収益を得ることも可能です。ただし、テナントビルを経営する上での明確な用途や、リスクをあらかじめ把握しておくことが重要です。

 

今回の記事では、テナントビル経営に興味のある方に向けて、テナントビル経営の概要やメリット・デメリットについてご紹介します。

テナントビル経営とは

テナントビル経営とは、所有しているビルの一室を企業や店舗向けに貸し出し、賃貸収入を得る土地活用法です。
ビルに入居するテナントは、用途や立地に合わせて選ぶことができます。

 

テナントは、部屋ごとにオーナーが一室を借り受けて営業を行うことから、「店子(たなこ)」とも呼ばれています。

 

空室リスクが少なく、長期的な入居が見込めるため、個人に部屋を貸し出すマンション経営と比べて収益性の高さに期待できるでしょう。
また、建物の規格などが決まっていないため、高層ビルにしたり、階層ごとにテナントの種類を変えたりするなど自由な設計も可能です。

 

ただし、自由に設計できる分、基本的な建設知識や長期的な経営のコツは身につけておかなければなりません。誘致するテナントに適した条件設備を整える必要もあるため、建設前からテナントビルの方向性を明確にすることが大前提です。

テナントビルの種類

テナントビルは、用途に合わせてさまざまな種類があります。例えば、飲食店やクリニックに特化したテナントビルや、オフィスだけを誘致したオフィスビルなどです。

 

それぞれの用途ごとに適した仕様や設備が異なるため、あらかじめ入居するテナントの種類に合わせた設計を行う必要があります。
ここでは、テナントビルの種類とその特徴についてまとめました。

  • オフィスビル
  • メディカルビル
  • 飲食ビル
  • 商業・ファッションビル
  • 賃貸マンション
  • 複合ビル

オフィスビル

企業が業務を行うために利用する、事業所・事務所のことを指します。飲食店にあるような厨房機器や電気、ガスの設備要件を満たす必要もなく、初期費用を抑えられやすいでしょう。

オフィスビルのメリットとして、長期的な入居に期待できることが挙げられます。

 

ザイマックス総研の研究調査では、オフィスビルの平均的な入居期間は9.6年間です。頻繁に空室が発生する危険性も少なく、マンションなどの居住用賃貸に比べて賃料も高いため、収益性の高さに期待できるでしょう。

メディカルビル

1つの建物に複数のクリニックや薬局が併設されているビルのことを指します。
眼科や歯科、耳鼻科など異なる医療施設が1か所に集まっていることから、「かかりつけ医」として利用されるメリットも。

 

医療機関は、景気に左右されることもほとんどなく退去の危険性が少ないです。長期にわたって入居してもらえるため、安定した収益に期待できます。
高齢化にともない、病院や薬局を利用する年齢層が増えていることから、効率的に通院できるメディカルビルの将来性は高いと言えるでしょう。

飲食ビル

居酒屋やカフェ、専門店などの飲食店を入居させたビルのことを指します。
駅周辺や繁華街の好立地であれば、集客がしやすく人気店になりやすいメリットがあります。
その反面、好立地であればあるほど土地代が高いというデメリットも。

 

安定した高収入を得るためには、ターゲット層を明確にし、その土地に最適な飲食店を置くことが必要不可欠です。
飲食店は、騒音や臭い、害虫問題などのトラブルを引き起こしやすいため、入居する飲食店オーナーと良い信頼関係を築くことも大事です。

商業・ファッションビル

雑貨や化粧品、ファッションフロアなどのさまざまな目的を持つ施設を複合させた小さなショッピングモールのような建物のことを指します。
1つのビルでショッピングを楽しめることから、集客に大いに期待できるでしょう。

 

商業・ファッションビルの集客の高さは、周辺地域の活性化にも繋がります。映画館やフードコートなどの大型施設を導入することで、規模を大きくさせることも可能です。

 

関連記事:商業施設のテナント賃料の相場を解説

賃貸マンション

企業やオーナーではなく、個人に対して部屋の一室を貸して家賃を受け取ることを目的とした建物のことを指します。駅近や利便性の良い都心部のマンションであれば人気が高く、長期間空室が続くことは少ないでしょう。安定的な高家賃に期待できます。

 

また、専用面積が狭いため空室状態が続いても収益のダメージはそこまで大きくありません。最近はセキュリティ面の高い女性限定マンションやペット可能なマンションなど、住居人にメリットを持たせたマンションタイプが人気です。

複合ビル

飲食店やファッションエリア、オフィスなど、さまざまなテナントを備えたビルのことを指します。種類の異なる企業や店舗が併設されることから、ランドマークのような存在になるでしょう。

 

規模が大きければ大きいほど集客性が高くなるため、駅近などの好立地にこだわる必要もありません。下層階に飲食店や商業施設、上層階にオフィスやマンションを設けるなど、目的に合わせた設計が組むことが可能であり、自由度が高いのが特徴です。

テナントビル経営のメリット

テナントビルと一口に言っても、さまざまな種類はさまざま。目的や用途に合わせた経営が必要です。ここでは、テナントビル経営におけるメリットについてご紹介します。

  • 高い収益性が期待できる
  • 複数の用途を組み込める

テナントビルは種類が多いゆえの「収益性」と「自由度の高さ」を楽しめます。
それぞれ解説します。

メリット①高い収益性が期待できる

テナントビル経営は、高い収益性に期待できます。

テナントを貸し出す相手は、基本的に企業や飲食店オーナーになります。個人に貸し出すマンションやアパート経営と比べて、長期的かつ高い収益を得られる可能性が高いでしょう。

 

一部屋当たりの専有面積も広いため、マンションやアパートと比べて賃料を高く設定できるメリットもあります。

なぜなら、居住用賃貸は間取りや築年数などで家賃を設定しますが、テナントは面積に合わせて賃料を高く設定できるためです。

 

繁華街や人の集まりやすい好立地であれば、マンション経営よりも格段に高い収益性を見込めるでしょう。

 

関連記事:建物オーナー様必見!誘致率の高いテナント募集方法7選を徹底解説

メリット②複数の用途を組み込める

テナントビルは複数の用途を取り込んだ「複合ビル」として活用することも可能です。

複合ビルのメリットは、1つのビルに複数の店舗やオフィスを集約することで集客性を高めて、安定した土地活用を狙えること。

 

例えば、飲食店エリアとショッピングエリアの異なるテナントを設けることで、利用客の相乗効果を見込めます。

利用する土地が広大であるほど、複合ビルとしての可能性は高まるため、高収益を実現できます。ただし、テナントの種類が多いほど、設備や建設計画複雑になることも。

 

トラブルになる前に、不動産や管理会社など専門家に相談することをおすすめします。

テナントビル経営のデメリット

テナントビル経営は、高い収益や複合的な利用目的を期待できる一方で、いくつかのデメリットもあります。

 

ここからは、テナントビル経営のデメリットをご紹介します。

  • エリアと規模によって事業が限られる
  • 管理業務が必要になる

デメリット①エリアと規模によって事業が限られる

テントビル経営は、エリアと規模によって事業が制限されることがあります。

例えば、テナントビルを全て飲食店にして集客を高めようと臨んだとしましょう。
しかし、駅から離れた場所や閑静な住宅街では需要が少ないため、高い集客率に繋げられません。

 

あるいは、複合ビルとして活用しようとしても専有面積が狭ければ、利便性が悪く人が離れていってしまいます。

 

テナントビルを経営する場合は、エリアと規模に適した事業計画を立て、立地に合った活用法を見つけることが大切です。
土地付近の利便性や建物を事前に調査しておくことがマストとなるでしょう。

デメリット②管理業務が必要になる

テナントビル経営は、建物内の清掃や設備の補修、定期的なメンテナンスなど管理業務が伴います。
主な管理業務をまとめました。

  • 建物共用スペースの清掃
  • 設備機器のメンテナンスや法定点検対応
  • 家賃未収の入居者への徴収催促
  • 入居、退去、更新時の手続き管理
  • 入居者からのクレーム対応
  • 空室の清掃、入居者募集の宣伝

その他にも、テナントビルの用途に合わせて細かな管理業務が発生します。

 

一つ一つの業務に経営者が一人で対応していると大変なので、専門家である不動産会社や管理会社に委託することがおすすめです。

テナントビル経営とマンション経営の違い

テナントビル経営とマンション経営は、第三者に建物の一室を貸し出すという意味では同じですが、以下の3つの違いが挙げられます。

  • 賃料の設定
  • 立地に条件がある
  • 設備の導入の有無

それぞれ解説します。

 

まず、テナントビル経営の場合はマンション経営と比べて高い賃料を設定できます。居住用目的ではない場合、専有面積に比例して賃料が決まるので高収益を実現できるのです。
ただし、テナントビルの場合は水道光熱費を管理会社が一括で支払うことが一般的。そのため、水道光熱費に少しの利益を踏まえた「付加使用料」を請求する必要があります。

 

マンション経営は駅近でなくても、居住しやすい環境であれば比較的立地を選びません。しかし、テナントビルの場合は立地条件が肝になります。高い集客率を見込める立地でなければ高い収益率は期待できないでしょう。

 

また、テナントビルは入居するテナントに合わせて設備環境を整えておく必要があります。飲食店なら、空調換気設備や厨房設備の導入などです。設置義務の発生があるかなど建設計画を入念に立てておくと安心です。

テナントビル経営のコツ

テナントビル経営は土地周辺の事前調査を入念に行い、明確な用途を示した建設計画を行う必要があります。

 

ここからは、失敗しないテナントビル経営のコツをご紹介します。

  • 立地や周辺環境などを確認する
  • テナントに誘致しやすい設計を選ぶ
  • 転貸の禁止条件を追加しておく

コツ①立地や周辺環境などを確認する

テナントビル経営を失敗しない一つ目のコツは、テナントビルを建てる立地や、周辺環境を事前に確認することです。

 

テナントビル建設は、立地条件が最大の肝になります。
飲食店や商業・ファッションビルの場合は、駅からの近さや周辺の人口密集率の高さが収益に比例します。

 

テナントビルの立地が、誘致するテナントの業界や形態に適しているか確認しましょう。

コツ②テナントに誘致しやすい設計を選ぶ

二つ目のコツは、テナントを誘致しやすい設備や環境を整えることです。

テナントの業種に合わせて設計することはもちろん、清潔感ある落ち着いたエントランスや省エネ性能の高い照明や窓を採用し、好まれる設計を選びましょう。

 

テナントに入る企業やオーナーが過ごしやすいと感じる設備環境が好まれます。

コツ③転貸の禁止条件を追加しておく

最後に、トラブルを回避するためにも転貸などの禁止条件契約事項に追加しておくことをおすすめします。

 

転貸の禁止を記載していないと、テナント会社が自社グループに部屋を貸してしまう可能性もあります。そうなると、テナントを退去させる際に上手く進まない場合があります。
例えば、立ち退き料の支払いを元々契約した親会社とグループ会社両方に支払う必要があることも。

 

退去の際のトラブルに発展することもあるため、契約事項には転貸・同居を禁止する条項を記載しておきましょう。

収益性の高さが見込めるテナントビル経営がおすすめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、失敗しないテナントビル経営のための基礎知識とメリットとデメリットをご紹介しました。

 

テナントビルは、立地条件に恵まれていることが安定した収益率の高さに結びつきます。テナントの業種に合わせた設備環境を整えて、長期的な収益を見込めるように誘致しやすい設計を検討しましょう。

 

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