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公開日 2023.08.24 更新日 2024.01.15

テナントオーナーが退去させたいケースについて解説

「テナントを退去させたい」
「立ち退き交渉を円滑に行いたい」
「交渉の進め方を知りたい」
このように考えているテナントオーナーは多いのではないでしょうか。

 

借主が納得できるように交渉を行わないと、裁判沙汰になって立ち退きが遅れてしまう可能性があります。建て替え計画が進んでいる場合、そのあとのスケジュールに支障が出てしまうでしょう。

 

この記事では、立ち退き交渉の進め方や立ち退き請求について紹介します。
立ち退き交渉を円滑に進めるためのポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

オーナーからの立ち退き請求とは

はじめに、立ち退き請求について紹介します。

  • テナントを手厚く保護する借地借家法
  • 立ち退きに必要な正当な事由の考慮要素
  • テナントビルの立退料の相場と算定基準

それぞれ見ていきましょう。

テナントを手厚く保護する借地借家法

借地借家法とはテナントを借用するときに適用される法律です。この法律により、オーナーから一方的に立ち退きを命じることができなくなっています。

 

しかし、正当な事由が認められたときだけ、立ち退き依頼が可能です。

立ち退きに必要な正当な事由の考慮要素

立ち退きを依頼するためには、正当な事由が必要です。オーナーが主張している立ち退き理由が正当な事由に当てはまるかどうか、いろいろな要素を織り交ぜて考慮します。

 

その要素にはどんなものがあるのでしょうか。ここからは、正当な事由の考慮要素を紹介します。

 

オーナー側の立ち退きを迫る目的・理由

もっとも主要な要素が、オーナー側の立ち退きを迫る目的や理由です。この目的が正当な理由として認められれば立ち退きを依頼できます。

 

目的や理由で多いのが、土地の再開発やオーナーのテナント利用です。
土地の再開発が立ち退き理由だった場合、経済活動を活発にするために正当な事由だと評価されると立ち退きを依頼できます。

 

テナント側の建物を使用する必要性

つぎに主要な要素が、借主がテナントを借用する必要性の有無です。
ここでいう必要性の有無とは、このテナントでないといけない理由のことで、近くのテナントに移転しても問題ない場合は建物を使用する必要性がないと判断されます。

 

しかし、テナントの立地条件が優れており、近くに移転できそうなテナントがない場合は、必要性があると判断されてしまうでしょう。

 

これまでの賃貸借の経緯、経過

テナントを借りるとき、建物を建て替える予定があるのを理解したうえで契約した場合は、正当な事由だと判断されることがあります。
このとき、言った言ってないの掛け合いにならないように契約書にあらかじめ記載しておきましょう。

 

関連記事:テナント契約での形態と入退去時の注意ポイント5つ

 

建物の利用状況及び建物の現況

建物の利用状況や老朽化が、立ち退きを依頼するうえでもっとも多い理由ではないでしょうか。しかし、建物の老朽化だけでは立ち退き理由として充分ではありません
なぜなら、老朽化が進んだ建物でも、修繕すれば利用価値はあるからです。

 

そのため、重要なのは老朽化している建物を取り壊すのか、建て替えるのかどうするかによって立ち退きを依頼できるか変わります。

 

立ち退き料

以上の4項目だけでは正当だと判断されることは少なく、立ち退き料も含めて正当か判断されます。
そのため、立ち退き料が少なすぎる場合、正当と判断されない可能性もあるでしょう。

テナントビルの立退料の相場と算定基準

立ち退き料の相場は決まっていません。
なぜなら、立ち退き料の計算方法は状況によって異なり、基本料のように一律で決まっていないからです。

 

しかし、最近の判例をみると、家賃10万円前後の立ち退き料は1,000万円程度のことがほとんどです。

 

関連記事:テナントの立ち退き料の相場を解説

立ち退き交渉の進め方

ここからは、立ち退き交渉の進め方を紹介します。

  1. 説明文書を賃借人に提示
  2. 口頭による説明
  3. 賃借人側の事情聴取
  4. 立ち退き料の交渉

大まかな流れを紹介します。

進め方①説明文書を賃借人に提示

まず、立ち退き理由を書面で用意し、賃借人に提示しましょう。急に口頭で伝えると、賃借人も驚いてしまい、最悪の場合言い合いになってしまう可能性もあります。
怒っている相手に説明しても聞き入れてもらえないことが多いため、冷静に話を聞いてもらうためにもまずは説明書を提示しましょう。

 

説明書は、不動産会社や弁護士に作成してもらうことがおすすめです。

進め方②口頭による説明

書面で説明したら、口頭でも説明します。
ここでは、書面で理解できなかった部分など、細かく説明します。
このとき、先に提示した説明書を用いて説明すると抜け漏れなく説明できるでしょう。

進め方③賃借人側の事情聴取

説明が済んだら賃借人側の事情を聞きます。店舗の移転や廃業は賃借人にとって人生を左右する大きな決断です。
そのため、賃借人が抱えている不安や懸念点はしっかり聞き取りましょう。
このとき、移転先の候補も何店舗か見つけておくと交渉が進みやすいです。

進め方④立ち退き料の交渉

賃借人の懸念点がぬぐえたら、立ち退き料を決めます。
立ち退き料は、新店舗の移転費用と考えましょう。そのため、新店舗を契約するときに必要な敷金礼金や手数料、新店舗の内装料や引っ越し費用などから算出します。

 

オーナーからの提示内容をすぐに飲んでくれることは少ないため、双方の納得できる着地点をみつけましょう。

立ち退き交渉の前に確認しておくこと

つぎに、立ち退き交渉を行う前に確認しておくことを3つ紹介します。細かく見ていきましょう。

賃借人の店舗の用途目的を確認

まず、賃借人が店舗をどのような目的で利用しているか確認しましょう。飲食店や販売店など立地と収入が関係する場合、移転すると常連客が減ってしまう可能性もあります。
事務所や営業所の場合、立地によって収入に差は出にくいですが駐車場の有無や家賃の金額が重要です。

 

このように、店舗の用途によってテナントに求めている優先順位がわかります。

立ち退き後の移転先となる物件を探す

立ち退き後は、移転する場合がほとんどのため、移転先となる物件を探しておきましょう。
物件探しのポイントは、立地や料金、広さなど現在と同等の物件を探しておくことです。

 

全く同じ物件はないため、似たような条件の物件をいくつかピックアップしておきましょう。

敷金返還の必要性の確認

立ち退き時、敷金を返還する必要があります。
しかし、家賃が未納だったり原状回復するのに多額の費用が必要な場合は敷金を変換できません。
そのため、敷金を返還する必要があるか確認しましょう。

立ち退き交渉を円滑に進めるために

最後に、立ち退き交渉を円滑に進めるためのポイントを紹介します。3つの項目に分けて紹介します。

立ち退き理由をきちんと伝える

1つ目のポイントは、立ち退き理由をきちんと伝えることです。

 

たとえば、確実に立ち退いて欲しいという理由で、賃借人に老朽化が進んで取り壊すと嘘の立ち退き理由を伝えたとします。
しかし、本当はテナントをオーナー自身の事業拡大のために利用したい場合、元賃借人にテナントを取り壊していないことがバレてしまうと後々トラブルが起こってしまう可能性があります。

 

そのため、立ち退き理由は嘘偽りなく、きちんと伝えましょう。

立ち退き後の移転先の物件情報提供

2つ目のポイントは、移転先の物件情報を提供することです。
賃借人は、移転先の物件が見つかるか不安に思っています。不安を取り除くためにも、今と近い条件で営業できる物件がないか何店舗か候補を出してあげましょう。

 

良い物件が見つからない場合、不動産会社や知り合いのテナントオーナーに当たってみましょう。

立ち退き6か月前に通告

立ち退きを依頼する場合、6ヶ月前に通告しましょう。
移転する場合、移転先の選定や契約など準備に時間がかかります。
さらに、飲食店の場合、常連客や従業員にも周知する必要があるため6ヶ月前の通告が理想的です。

裁判になったら和解による円満解決を

裁判になってしまうと、立ち退きまで多くの時間を有してしまいます。そのため、和解による円満解決を目指しましょう。

 

円満解決を目指すには、オーナーと賃借人の双方が納得できる立ち退き料を探す必要があります。
たとえば、500万円の立ち退き料を提示していたが、賃借人が700万円を請求してきた場合、600万円に値上げするといった具合です。

 

このように、お互いが和解できるような着地点を見つけ、円満解決を目指しましょう。

テナントから賃借人を退去させたいときは円満解決を目指そう

立ち退き請求や交渉方法について紹介しました。
立ち退き依頼をしたとき、賃借人とトラブルになってしまう可能性は多いにあります。

 

裁判沙汰になってしまうと立ち退きに時間がかかってしまったり、余分な費用を支払う羽目になったりメリットはありません。
そのため、テナントから賃借人を退去させたいときは円満解決を目指しましょう。

 

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