アパートやマンションの一室でお店を開業することは可能?注意点やリスクについて紹介
アパートやマンションの一室で自宅サロンやワークショップ、または個人事業の事務所として利用したいと考えている方もいるでしょう。しかし、アパートの一室を使用して事業を行う場合、しかるべき所へ確認を取り許可を得る必要があるため注意が必要です。
そこで本記事では、アパートの一室を使用して事業をする際に必要な注意点や、許可を得ずに開業をした場合のリスクについて紹介します。
目次
アパートやマンションの一室でお店はできる?
「プライベートサロン」や「ワークショップ」、「個人事業の事務所」として、アパートやマンションの一室を利用したいというケースは少なくありません。
ただし、居住用で契約したものを大家さんに無断で事業用として使用するとトラブルの原因に繋がるため注意が必要です。ちなみに居住用の物件は「居住用の賃貸契約書」を結んでいるため、内容を確認すると「居住以外で使用することは禁止」であることが記載されています。
そのため、アパートやマンションの一室で事業をしたい場合は、賃貸借契約をする前に大家さんに相談をしましょう。また、賃貸中の場合であれば、新たに部屋の一室で事業を始めたいと思っていても、始める前に大家さんに相談することがトラブルを防ぐには重要です。
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開業するお店の例
開業する場合、どのようなお店があるのか見ていきましょう。
- エステサロン
- ネイルサロン
- ワークショップ
- 整体
- リラクゼーション
- オンラインサロン・教室
- Webデザイン
- プログラミング
- ライター
- イラストレーター
- ユーチューバー
- 個人事業の事務所 など
アパートやマンションでお店を開業する場合の注意点
賃貸物件でお店を開業するには、以下のような注意点を押さえる必要があります。
- 賃貸借契約書を確認する
- 大家さんの許可をとる
- 開業届を税務署に提出する
それでは、賃貸物件でお店を開業する場合の注意点について、詳しく確認していきましょう。
注意点①賃貸借契約書を確認する
アパートやマンションを借りる場合、“居住用”もしくは“事業用”のどちらかで賃貸借契約を交わします。居住用は住むことを目的とした賃貸借契約ですが、事業用とは事務所や店舗として利用することを目的とした賃貸借契約となるのです。
そのため、開業する場合は事業用として賃貸借契約をする必要があります。しかし、居住用として賃貸借契約したアパートにて無断で開業をする方もいますが、違法となるためリスクを伴います。
例えば、週に2日だけプライベートサロンやワークショップとして開業したケースであっても営利目的である以上法律に違反しています。営業している日数が少ないからといって免除になる訳ではなく、お金の受け渡しが発生する営利目的である以上法律に抵触するのです。
注意点②大家さんの許可をとる
しかし、賃貸借契約書には「居住以外での使用は禁止」とあっても、居住としても使用しているのであれば、大家さんからの明渡し要求が認められるわけではありません。
すべてに該当する訳ではありませんが、例えばパソコンを使用してデザイン関連の仕事やライター業務、または内職などの仕事を部屋の一室で仕事をしていても、契約解除が認められることはないでしょう。
明渡し要求が認められない理由として、お客さんや業者の出入りがあり、騒音や異臭を出すなど、近隣に迷惑をかけていないと考えられるためです。
注意点③開業届を税務署に提出する
開業したら、納税地の税務署に開業届を1ヵ月以内に提出する必要があります。開業届は、個人事業主として金銭が発生する仕事を始めた場合に提出しないといけない書類です。
ちなみに個人事業主とは、法人ではなく個人で事業を営んでいる人を指します。つまり開業をすると自動的に個人事業主となり、納税地の税務署へ開業届を提出することが必要となるのです。
お店を開業する際に許可を得ない場合に起こるリスク
一方で、お店を開業する際に許可を得なかった場合に起こる以下のようなリスクも存在します。
- 大家さんとの信頼関係が崩れる
- 契約解除になる
- 近隣住民からのクレームにつながる
それでは、3つのリスクについて詳しく確認しましょう。
リスク①大家さんとの信頼関係が崩れる
大家さんに許可を得ることが難しいケースだと、無断で開業してしまおうと考えてしまう人もいるでしょう。
看板などは出さず、お客さまや業者の出入りや、近所迷惑になる騒音もない事業であれば大家さんに気付かれないかもしれません。また、仕事では一室だけ使用して他の部屋で居住しており、家賃も滞りなく支払っていれば不審に思われることはないでしょう。
しかし、大家さんが気付いてしまった場合、「許可も得ず部屋の一室で事業をするなんて、何か後ろめたいことでもあるのだろうか」と疑われる可能性があります。また賃貸借契約書にある決まりを破っているわけですから、大家さんとの信頼関係が崩れてしまい生活しにくくなる恐れがあるでしょう。
リスク②契約解除になる
賃貸借契約にある禁止事項に「本契約に定める目的以外に使用した場合」などの記載がある場合、居住用で契約した賃貸住宅の一室で開業をすると契約解除となり、退去を求められることがあります。
住民の方の迷惑となったり勝手に部屋を改装したり、常識とははずれて居住用の物件を使用し、大家さんが注意をしても改善しない場合は「信頼関係が壊された」とみなされ退去事由となります。
リスク③近隣住民からのクレームにつながる
居住用の賃貸物件でお店をする場合、お客様や業者の出入りや騒音が周囲に響いてしまい、クレームに繋がる可能性があります。さらにお客さまが勝手に空いている駐車場に車を停めたりするトラブルも少なくありません。
また、クレームに対して適切な対応をしなければ、大家さんや管理会社から厳重注意をされるでしょう。さらに住民の区分所有法に基づき、営業停止の訴訟を起こされるリスクを伴うでしょう。
アパートの一室でお店を開業する前に賃貸借契約書や大家さんに確認を
いかがでしたでしょうか。
今回は、アパートの一室を使用して事業をする際の注意点や、許可を得ないで開業をした場合のリスクについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
お店を開業するにはトラブルにならないよう、賃貸借契約書や事前に大家さんに相談をすることが重要です。
また、契約解除や大家さん、近隣住民とのトラブルなどのリスクをしっかり把握した上で、開業について検討することをおすすめします。