テナント工事の種類や施工にあたっての注意点3つを紹介
テナントビルでの入居が決まったら、やることはいっぱい!その中のひとつに内装や設備の工事がありますが、テナントの設備工事や内装工事には種類があることをご存じでしょうか?
ここではテナントに入る際の内装工事について紹介します。テナント工事の種類やその内容を知ることで、トラブル発生のリスクを減らしていきましょう。
目次
テナントの工事区分とは
テナント契約後は自分たちの目的に合わせて内装工事や設備工事を行いますが、その工事には区分が3つあります。
- A工事区分
- B工事区分
- C工事区分
工事に責任を持つ人、そして工事の費用を担当する人が区分によって変わってきます。
工事の責任を持つ人をビルの所有者との間で明確にしておかなければ、後々大きなトラブルにつながることも。そのために、AからCまでの3つの区分を作り、責任者を明確にしているのです。
工事区分はなぜ必要?
工事区分が必要な理由は、工事する場所が共有部分なのかテナントの占有部分かによって必要なものが変わるからです。また、工事の許可をした・していないなどでトラブルが発生するのを防ぐ効果もあります。
テナント工事の際に貸主と借主の間で明確にすべき項目は次の5つです。
- 工事に対して責任を持つ人について
- 工事業者の選定について
- 工事費用を誰が負担するかについて
- 工事後の所有権は誰にあるかについて
- 原状回復義務の範囲について
特に多いのが、費用負担や原状回復などのトラブル。不要なトラブルを避けるためにも、上記の5点は必ず明確にしておきましょう。
A工事
A工事はビルの所有者であるオーナーが行う工事のことです。テナント側がかかわることはほとんどないのですが、共有部分で不便だと感じることがあれば申し出をすることは大切。また、テナント側の専有部分でもオーナーが認めればA工事になることもあります。
対象となる主な場所は、トイレやエレベーターなどの共有施設や共有通路です。設計や施工はオーナー側の業者が行います。
関連記事:テナントのオーナーとは何か、オーナーになる方法とともに解説
B工事
B工事はテナントからの要望を受けてオーナーが責任者となり行う工事のこと。工事費はテナントが負担しますが、設計や施工はオーナー側の業者が担当します。
分電盤や防水、厨房の給排気、空調設備などです。専有部分の変更なので負担はテナントですが、ビル全体の安全性に係る部分でもあるため所有権はオーナーです。
費用負担が自分ではないため、オーナーは工事にかかわる費用を抑える努力をしないケースもあります。
C工事
C工事はテナントの責任で工事業者の選定や発注、支払いをすべて受け持って進める工事です。専有部分の工事で自分のテナントのみが使う場合などが該当します。
カーペットの張替えや照明器具の交換、電話工事などです。所有権はテナントで、設計や施工業者も選べるため工事費用を抑えられます。ただし、退去時は原状回復義務に従って元に戻さなくてはなりません。
テナント工事を始める前の注意点
テナントに入居するための工事を始める前には、必ず工事区分の違いを理解してから進めるようにしてください。さらに3つの注意点があるため、しっかり押さえておきましょう。
注意点①工事区分表で責任と見積もりを確認
誰が業者を選んで誰が費用を払うのか、最低限それだけは責任の所在を明確にしておくことが大切です。工事区分は入居契約に記載されている「工事区分表」で確認できるため、どんな工事が必要かがわかればまず工事区分をチェックしてください。
特にB工事はトラブルが起こりやすい区分です。本来はA区分であるはずの共有部分が工事内容に入っていたり、テナント側が費用交渉ができないため通常よりも高い工事費用が請求されたりといったトラブルが多発しています。
もし工事の説明を聞いてもわからない場合は、うやむやにせずに建築関係の専門家に相談することがおすすめ。無駄に費用を払わなくてもよいように自衛が必要です。
注意点②図面の変更がないか確認
途中で図面変更があればすべての作業がやり直しになります。工事区分が途中で変わったり業者が変わったりするとその分費用も増加するでしょう。工事中は図面の変更がないかを必ず確認するようにしてください。
注意点③経験豊富な施工会社に依頼
経験豊富な施工会社に依頼するようにしましょう。経験が浅い業者では工事をスムーズに進められず、人件費や材料費に無駄が発生することもあります。業者選定時には過去の実績を必ず確認してください。
関連記事:テナントに入居する際の4つの手順と押さえておきたい注意点を紹介
工事のコストがかかる原因
どうにも工事にコストがかかりすぎている、そう感じる場合には、以下5つの原因が考えられます。
- 依頼した業者の経験不足
- 施工会社の手に余る管理規模
- 余裕のない工期
- 見積書以外の情報未チェック
- 安易な図面内容の変更
原因①依頼した業者の経験不足
経験が少ない、もしくはその工事に限っては未経験であるという場合、合理的な人員配置ができないケースが考えられます。また、材料も無駄になることもあるでしょう。
原因②施工会社の手に余る管理規模
管理規模が施工会社にとって過剰であると、自分たちでは管理ができなくなり、下請けなどの外注が増えます。その結果、余計な管理コストがかかってくるのです。
原因③余裕のない工期
準備期間が短いと材料調達などにも無理が生じ、コストがどんどん加算されます。段取りはじっくりとすることがどんな業界でも大切です。発注側であるテナントも、余裕を持って工事を依頼するようにしましょう。
原因④見積書以外の情報未チェック
見積書だけでなく、提案書に書かれている情報もくまなくチェックしましょう。相手に言われるままに頷いていれば、コスト管理はできません。提示された条件と情報を一通り見て理解したのち、思うところがあれば提案することもひとつの方法です。
原因⑤安易な図面内容の変更
安易な図案内容の変更は混乱とコストの増加を招きます。基本設計の段階であれば融通がきくこともありますが、実施設計段階での変更には料金への影響は確実。図面上では少しの変更であっても、その部分に関係する複数の業者の作業がすべてやり直しとなることもあります。
特に完成予定日が近ければ近いほど影響は甚大です。変更がないように、工事前に何度も確認しておきましょう。
テナント工事では工事区分に注目!B工事なら注意しよう
入居するテナントビルで自社仕様に変更工事を行うときは、工事区分を必ず確認するようにしましょう。特に共有部分など、ビルのオーナー側に責任がある場所を工事するのであれば、責任も費用もテナント側は持ちません。
最もトラブルが多いのがB工事区分です。オーナーは自分の懐が痛まないため工事費の節約には興味がない場合が多く、工事費が高くなりがちです。そのため、責任の所在と工事内容についてはテナント側も必ずチェックするようにし、費用が高いと思えばオーナーに掛け合うようにしましょう。
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