テナントの電気代上乗せに関する判例を紹介
「テナントの電気代が上乗せされたことによる判例はあるの?」
「そもそもテナントビルの電気代の相場は?」
「過払い金は請求できるの?」
このような疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか。
電気代が高騰しているため、請求された金額が妥当な数字なのかわからない人も多いと思います。
もし、上乗せされた料金を支払っていた場合、直近5年分の過払い金は請求可能です。
ここからは、テナントビルの電気料金の請求方法や相場について紹介します。
目次
電気料金の上乗せ請求とは
はじめに、電気料金の上乗せ請求について紹介します。
- テナントビルの電気代請求は2種類
- テナントビルの電気料金の相場
- 一括受電で高い電気代を請求される?
それぞれ見ていきましょう。
テナントビルの電気代請求は2種類
電気料金の請求方法は一括受電と個別契約の2種類あります。それぞれ特徴が異なるため、詳しく紹介します。
ビル単位で一括受電
ビル単位で一括受電する場合、ビルに届いた電気を受変電設備という機械に通して各テナントに提供します。
請求金額の算出方法は、各テナントについている電気メーターを利用します。一括で受電しているため、個別契約より割安になる可能性が高いです。
店舗ごとに個別契約
テナントビルによっては、各店舗ごとに個別で電気会社と契約することもあります。一括受電より割高になる可能性もありますが、個人で契約するため内訳が明確でトラブルも少ないのがメリットです。
この契約方法はテナントビルによって異なります。
そのため、一括受電しているビルで自分のテナントだけ個別契約はできません。
テナントビルの電気料金の相場
テナントビルの電気料金の相場は基本料金が1,814円で、1kWh20〜25円です。
100坪の飲食店の場合70〜80万円程度かかると考えておきましょう。
これは、2023年4月以降の東京電力業務用電力(契約電力500kW未満)の従量単価です。しかし、電気料金は契約プランや基本料金によって変わります。
関連記事:テナントビルの電気料金はどうなっている?仕組みや節電方法を紹介
一括受電で高い電気代を請求される?
一括受電で通常より高い電気代を大家さんに請求された事例があります。これは、大家さんが受変電設備の代金や手間賃を電気代に上乗せしているためです。
この設備の代金や手間賃は本来、共益費に含まれているもののため、電気料金に上乗せして良いものではありません。
そのため、相場より電気代が高い場合は大家さんに確認してみましょう。
電気代上乗せに違法判決
電気代の上乗せが発覚したとき、過払い金を請求できます。
過去に判決が下った判例は、札幌の飲食店が2倍近い電気料金を払わされ、大家さんに1,020万円の過払い金を請求したものがあります。
ほかにも、宮崎の企業が257万円の過払い金を請求した判例もあります。
では、どのような場合、過払い金を請求できるのでしょう。
ここからは、請求できる場合と範囲について紹介します。
- 過払い請求をできる場合とその範囲
- 直近5年分の過払い請求は可能
それぞれ以下の通りです。
過払い請求をできる場合とその範囲
過払い請求は、実費を超えた請求があった場合に適用されます。大家さんのなかには、保守点検料やメーター本体代、手間賃を上乗せしている人もいるでしょう。
裁判所はこのような料金を不当な料金と判断しています。
そのため、実費よりも多い料金を支払った場合、過払い金を請求できるのです。
しかし、契約書に「大家さんが妥当だと判断する方法で算出した金額を支払う」と記載がある場合は、過払い金を請求できない可能性があります。
直近5年分の過払い請求は可能
直近5年分の過払い金は請求可能です。これは、民法703・704条に記載されており、賃貸契約が済んだあとも請求できます。
そのため、大家さんとの関係を悪くしたくない場合は、退去後に請求するといいでしょう。
さらに、相手がわざと上乗せして請求してきた場合、1年につき3%の利息をつけて返済請求ができます。
関連記事:テナントで必要な電気容量は?テナントの種類ごとに紹介
テナントの電気代を上乗せされたと感じたら判例を参考にしよう
電気代の上乗せに関する判例を紹介しました。
テナントビルによって請求方法や契約内容が異なるため、契約前に細かく確認しましょう。
とくに、契約書に「大家さんが妥当だと判断する方法で算出した金額を支払う」旨の記載がある場合は、過払い金を請求できない可能性があります。
その場合、もし電気料金を上乗せされても泣き寝入りしかできません。
そのため、契約内容は隅々までチェックしましょう。