マンションを事務所として利用する場合の注意点を解説
「事務所を立ち上げたいがマンションを借りていいか迷っている」「マンションを事務所として利用する際の注意点は?」などのマンションの事務所利用について、このような疑問をお持ちではありませんか。
マンションを事務所として利用する場合には、管理規約や居住規約に記載の条件を満たす必要があります。規約違反を行った場合には、マンションの退去を命じられる恐れもあるため注意しましょう。
本記事では、マンション物件の事務所利用は可能かについて紹介します。
目次
マンションを事務所として利用できる?
マンションを事務所として利用する際には、一定の条件を満たす必要があります。
一定の条件とは「事務所としての用途が可能な物件であること」「マンションの管理元に対し交渉が成立した場合」などです。
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マンションを事務所として使えるケース
次の2つのような場合、マンション物件を事務所として利用できます。
- もともと事務所の利用が認められている
- 事務所として使用が可能になるように交渉する
2つのケースについて、それぞれくわしく見ていきましょう。
ケース①もともと事務所の利用が認められている
マンションを事務所として利用できるのは、もともとマンションの管理規約に事務所利用可能の旨が記載されている場合や、交渉の結果大家から事務所としての利用が許可された場合に限られます。
物件の使用用途によって固定資産税や消費税の税率が異なるため、物件の契約者は物件の使用用途について管理会社や、大家に対して正確に伝えなければなりません。
物件の使用用途を居住目的と申請しながら、実際は事務所として利用していたことが発覚すれば、マンションの管理者や管理組合から退去を命じられる可能性もあります。
ケース②事務所として使用が可能になるように交渉する
マンションの管理規約に「事務所利用不可」の旨が記されていても、マンションの管理元と交渉することでマンションを事務所利用できる場合があります。
マンションを管理する立場に立ったとき、管理者は「不特定多数の人が立ち入ることによるセキュリティ面の問題」「居住者とのトラブル」などの問題点を危惧します。
そのため「事務所利用によってセキュリティが脅かされないこと」「外部者と居住者とのトラブルが発生しないこと」などを管理者にアピールできれば、事務所利用の許可が下りる可能性もゼロではありません。
事務所利用不可の物件を事務所として利用したい場合には、無断で用途を変更したり使用用途を偽ったりせず、必ず管理元への申出・確認を行いましょう。
マンションを事務所として使えないケース
ここまで、どのようなケースにおいてマンションの事務所利用が認められるかについて紹介しました。
それでは、反対にどのような場合に事務所利用を断られてしまうのでしょうか。
実際には、次の2つのような事例においてマンションの事務所利用が不可能です。
- 不特定多数が出入りする
- 原状回復工事が複雑である
2つのケースについて、それぞれくわしく見ていきましょう。
ケース①不特定多数が出入りする
マンションの事務所利用を許可した場合、不特定多数の外部者がマンションに出入りするため、居住者の安全を考慮して、マンション管理者が事務所利用を断る場合があります。
事務所利用可物件を管理するうえでマンションの運営側にとって問題になるのが、外部者が敷地内に立ち入ることによるトラブル発生の可能性です。
事務所を利用する外部の人が騒音トラブルを招いたりマンション敷地内を汚したりすることがあれば、居住者とのトラブルに繋がる可能性もあります。
そのため、多くの人が出入りする「サロン」「教室」「税理士・弁護士事務所」などを開設する場合、管理会社や大家から事務所利用を断られる可能性があるのです。
ケース②原状回復工事が複雑である
マンションを居住目的で利用する場合には床や壁の汚れを修繕する義務は発生しませんが、物件を事務所として利用する際に内装や改装を行った場合には、物件の契約者に対して原状回復の義務が発生します。
そのため、あまりに複雑な原状回復工事が見込まれるような内装工事が予定される場合には、契約時点で事務所利用を断られる可能性があります。
マンションを事務所にする場合の注意点
ここまで、どのようなケースにおいてマンションの事務所利用が可能かについて紹介しました。
それでは、実際にマンションを借りて事務所を立ち上げる際にはどのような点に注意すべきなのでしょうか。
事務所としてマンション物件を利用する際には、次の3つのポイントに注意しましょう。
- 管理規約を確認する
- 契約形態を確認する
- 管理組合との話し合いが生じることがある
3つの注意点について、それぞれくわしく見ていきましょう。
注意点①管理規約を確認する
マンションの管理規約にはマンションを利用する際の注意点・ルールが明確に示されています。マンションを事務所として利用する場合には、必ず管理規約に定められている文言を確認しましょう。
先述したように規約に記載のない場合でも管理元へ交渉することで特別に利用許可が下りることがあります。
どうしても事務所として利用する物件が見つからない場合や、テナント物件のあてが見つからない場合には、一度マンション管理元への交渉を試みましょう。
注意点②契約形態を確認する
マンションを契約する際には「居住契約」「事務所契約」のいずれかを選択します。
過去に居住目的として登記された物件は、その後契約形態を変更し、事務所として利用できません。
注意点③管理組合との話し合いが生じることがある
管理規約や契約形態の条件を満たす場合でも、事務所の業務内容によっては管理組合との話し合いが生じる場合もあります。
話し合いが必要な場合には、とくに「マンション居住者とのトラブルがないこと」「マンションへの立ち入りは特定の顧客に限定して許可すること」などを管理組合にアピールすることを意識しましょう。
また、管理規約に記載のない内容でマンション利用が認められる場合は限られるため、交渉をしても許諾を得ることが難しければほかの物件を探すなど、対応策を検討するようにすることをおすすめします。
マンションの事務所を利用する場合は管理者の許可を
マンション物件を事務所として借りる場合には、管理者やマンション居住者からの許可を得ることが必要です。
管理会社や大家に対し虚偽の申請を行って物件を使用すれば、退去命令が下される恐れもあります。マンション物件を使って事務所を立ち上げたい場合には、管理会社や大家に対して必ず正確な情報を申告し、管理者とのトラブルがないように気をつけましょう。